エピソード その8 お手本バイト
これは以前、私が結婚式を挙げた時のエピソードです。
私とYちゃん
私と夫は大学のサークルで出会ったため、結婚式には大学時代のサークル仲間を20名ほど招待していました。その中には私たちの少し前に結婚した夫婦、YちゃんとRくんもいました。
Yちゃんと仲の良かった私は、2人が結婚式という形では行わず、写真撮影のみという話を聞いていました。
もちろん披露宴も行っておらず、ケーキ入刀などのイベントも一切していません。
Yちゃん自身はそのことに納得していましたが、少し残念そうな口ぶりではありました。
サプライズ計画
その一方で、私たちも自分たちの結婚式の準備をしていました。そして式の準備をしている際に、ウエディングプランナーさんが「お手本バイト」というものがある、という提案をしてくれたのです。
通常であればケーキ入刀の後に新郎新婦がファーストバイトを行いますが、これは先に「お手本」として別の夫婦にケーキを食べてもらう…というものでした。
この話を聞き、私はすぐに「YちゃんとRくんにやってもらいたい」と思ったのです。
事情を知っており、サークル仲間である夫もすぐに賛成してくれました。
YちゃんもRくんも物怖じしない性格でしたし、規模が小さめのアットホームな式だったので、この際サプライズで行おうという計画を立てました。
お手本バイト
そして当日、予定通り披露宴会場には2人も参列してくれました。YちゃんとRくんはサークル時代から仲は良かったのですが、その日寄り添う姿が学生時代とは違っていて、「夫婦なんだな」と実感したことを覚えています。
式は順調に進み、ケーキ入刀も終わりました。
いよいよお手本バイトです。
司会の方が「それではお手本バイトをお願いします」とYちゃんとRくんの名前を呼びました。
もちろん2人とも驚いていましたが、少し照れながら前に出て来てくれました。
まずはRくんからYちゃんへ。一口サイズのケーキをスプーンに載せてそっとYちゃんの運ぶ姿に、仲間達も声を上げて見守ります。
そしてYちゃんからRくんへ。
セオリー通りと言うべきか、巨大なスプーンにどっさり載ったケーキを楽しそうに運ぶYちゃんと、「えー」と言いつつも嬉しそうにかぶりつくRくん。
会場からも温かい笑い声が起こります。
その後私たち夫婦がファーストバイトを行いました。
結婚式その後
式は滞りなく終わり、参列してくれた方々に「良い式だったよ」と言って頂きました。そしてYちゃんからは「びっくりしたけど嬉しかったよ。どうもありがとう」と連絡がきました。
Rくんにも「びっくりしたよ!でも良い経験できたよ」と言ってもらうことができました。
自分たちだけでなく、参列してくれた方々にも喜んで頂けたというのは、とても嬉しいことでした。
この瞬間を別の友人がしっかり写真に残してくれています。
そこには楽しそうなYちゃんとRくん、そして後ろで嬉しそうにしている私と夫も写っているのです。
とても良い写真なので、アルバムの中に大切に保管しています。
Yちゃん・Rくん夫婦とは現在も仲の良い友人です。
偶然子どもも同級生となりました。
これからは友人として、親として、一緒にたくさんの時を重ねていきたいと思っています。